県産材へのこだわり

富山の杉の木にこだわる理由

一人の林業家の方に教えて頂いた「雪起し」と言う作業。
早春の頃、植林した山林の中では、雪の重みで倒れた杉の稚樹を一本一本手で起こす作業が始まります。
何千、何万本と言う稚樹を人間の手で一本一本起こしていく、気が遠くなる作業を初めて聞いた時、衝撃が走りました。
想像を超える本数と急な斜面が多く雪深い山林内でのその作業は、とてつもなく過酷でしょう。
自分達の手元に届くまでの林家の方々の苦労と、杉の木への深い愛情は計り知れません。

立山連峰がそびえる富山県は緑豊かな県ですが、決して林業県ではありません。
しかし、植林された杉の木一本の持つ生命力は秀でていると思っています。

富山の森は、いままさに使いどき!

森林には様々な役割があります。
洪水や土砂の災害防止や、生物の多様性の保全など、森が豊かであることが、地球環境を良くしています。
なので、木を伐ることは良くないことと思われていますが、それには天然林と生産林の違いを混同している場合があります。
生産林として育てた山林は、伐って使うことが必要です。なぜなら木は育つ過程でCO2を体内に吸収し炭素として蓄え、
その効果は木製品として利用される間も続くからです。また若い木ほどCO2の吸収が盛んです。

大きく育った木は伐って住宅や家具などに活用することでCO2を固定し、伐った後には新たに若い苗木を植えることでCO2の吸収量を増やす。
伐って使うことが、地球温暖化の防止に繋がるのです。
地球環境を良くする為には、大きくなった木は伐って使い、そして新たに苗木を植えるサイクルを保つことが重要です。

本物の木材のぬくもりを知ってほしい。

便利な世の中になり、メンテナンスフリーなものが持てはやされています。
身の回りを見ても、プリント等の木目調のものはあっても、無垢の材料で出来た木製品を見かけることは少なくなりました。
木造の家は新築されても、どこの木材なのかこだわる人も少なくなりました。
このまま木の製品が日常の暮らしから少なくなってしまうと、
将来の子供達は、本物の木材だけが持つぬくもり、手触り、木の香りをどこで知るのでしょう。

都市(まち)に森がやってくる。

身近な暮らしの中で、地域で育った木材が活躍する場面をもっと増やして行きたいと思っています。
普段の何気ない風景に溶け込むように。
工事用の看板であったり、公園のベンチであったり。
自分達の暮らしと森林は繋がっていることを、街の中や普段の暮らしの中で、もっと感じて頂けるように。
地域の材料を地域で活かすことで、林業家の方の思いを、杉の木の力を、街中に届けたいと思っています。

都市空間を木材で彩る。

杉材の新たな活用方法を考えることで、杉材の持つ可能性を引き出したいと思っています。